会津と萩
星亮一著「会津藩vs長州藩」と言う本を読んだ。私のイメージでは星亮一氏は会津贔屓だと思っていたけれど、それは5年前までの話らしい。新選組の存在感も触れていて、とても読み応えのある内容だった。

数年前から会津若松市と萩市とでは、個人レベルで和解を試みているとのこと。戊辰戦争以前から既に仲が悪く要因はあったようだし、結局は歴史の誤認によるものも多いみたいだ。私もこの著書で知った事は多い。ある著書で新選組がやり過ぎたせいで、会津が悪者になったような事が書かれていたものがあり、それはある意味で「会津が嫌な仕事を新選組に押し付けた」とも言えた。例えば有名な池田屋事件。街中を火の海にしようとした長州。長州を相手にする事に迷った会津。実力行使する事で阻止した新選組。長州の中でも過激派によるものであって、決して全てではない。そして長州だけでもない。土佐や薩摩もいた。誰を指して悪いと言うなら、個人レベルで「こいつらが」とは言えても、そのバックボーンの組織そのものを間違ってるとは言い難い。この本を読んで私は再認識した。あの時代、正しいとか間違ってるとかを正確に判断し、正しいものの為に行動する事は至難の業だったと。

今はあの頃と違う。互いにその気でさえあれば話合いは出来る。幾ら日本の治安が悪くなったと言っても、血で血を洗う事は望まない。過去の憎しみを未来への遺産に変えて貰いたい。二度とこんな事が起きない様にするにはどうするべきか、自分はどうあるべきか。 それが今の時代であり、現代に続く個々における戊辰戦争であると思う。


余談だけど、この本を読んで少し見直したのは桂小五郎。嫌いになったのは吉田松陰。詳しく書く事はしないけれど、とても面白い本だった。
2006/06/29